「もう終わった騎手」——そんな声がネット上を流れていた女性騎手が、2026年5月24日、日本の競馬史を塗り替えた。

今村聖奈(22歳)がオークス(第87回優駿牝馬・G1)でジュウリョクピエロを駆り、JRA所属女性騎手として史上初のG1制覇を達成した。
しかもクラシック初騎乗での初制覇という、前代未聞の快挙である。

デビュー年に51勝の輝き。スマホ不正使用による騎乗停止。100連敗に迫る大スランプ。そして奇跡の復活——。
今村聖奈の競馬人生を、ゼロから振り返る。

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デビューから「女性騎手の星」へ——51勝の衝撃

2022年3月、今村聖奈はJRA競馬学校第38期生として騎手デビューした。
元JRA騎手の父・今村康成を持つ、競馬一家の出身だ。

デビューイヤーに刻んだ51勝は、女性騎手の史上最多記録であり、新人全体でも歴代5位という驚異的な数字だった。

その最大の武器は「ギリギリの大胆な騎乗」。
馬群の隙間に臆せず突き込むアグレッシブなスタイルは、ファンを熱狂させた。

  • デビュー年:2022年3月(JRA競馬学校第38期生)
  • 所属厩舎:寺島良厩舎(栗東)
  • 父親:今村康成(元JRA騎手・現調教助手)
  • デビュー年勝利数:51勝(女性騎手史上最多・新人歴代5位)

競馬ファンだけでなく若い女性ファンも獲得し、「アイドル騎手」として社会現象になった。
この時点で誰もが確信していた——今村聖奈は日本競馬の未来を変える存在だ、と。

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スマホ不正使用と30日間の騎乗停止——転落の始まり

2023年5月、転落の始まりが訪れた。

今村を含む6名の騎手が、開催日における通信機器(スマートフォン)の不適切使用により、30日間の騎乗停止処分を受けたのだ。
(処分期間:2023年5月13日〜6月11日)

騎手控室(ジョッキールーム)でのスマホ使用は、レース情報の不正共有などを防ぐため厳しく禁じられている。
ルール違反は明確であり、処分は妥当だった。

しかし問題は、停止処分後に起きた「心の変化」だった。

2年目は騎乗停止の影響もあって25勝にとどまり、3年目以降は6勝まで激減。
騎乗依頼そのものも右肩下がりとなっていった。

スマホ不正使用は2023年5月の出来事。このタイミングを境に、今村の成績と騎乗スタイルが大きく変わっていくことになる。
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54連敗・100連敗に迫るどん底——「落ちぶれ」と言われた理由

スランプの本質的な原因は、騎乗スタイルの変化だった。

馬と馬の間にスペースができると躊躇することなく突っ込んでいった今村の姿が、最近はほとんど見られなくなった。後ろから外目を通ってくることが多く、スタートが決まらずポジションが悪くなることも目立つ

アサ芸プラス「大胆騎乗が消えた今村聖奈 54連敗スランプの最大要因」

制裁が相次いだことで、持ち味だった「思い切り」を失っていったとみられる。

さらに2024年10月29日・新潟7Rでは前を走る馬が転倒するアクシデントに直面。
今村は間一髪で飛び越えて落馬を免れたが、このアクシデント以降、馬群を避けるような騎乗がさらに増えたと分析されている。

54連敗、100連敗に迫る失速——「落ちぶれた」「もう終わった」という声がネット上に溢れた。

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ジュウリョクピエロとの出会い——復活への伏線

今村の復活の鍵を握ったのが、同じ寺島良厩舎のジュウリョクピエロ(牝3歳)だ。

春の忘れな草賞(L)で豪快な差し切り勝ちを披露し、オークスへの切符を手にした。
鞍上は今村聖奈——JRA女性騎手として史上初となるクラシックレースへの騎乗が決まった。

  • 馬名:ジュウリョクピエロ(牝3歳・栗東・寺島良厩舎)
  • オークス当日の人気:5番人気
  • クラシック出走権:忘れな草賞(L)優勝で獲得
  • 騎手:今村聖奈(クラシック初騎乗)

レース前、今村はこう語っていた。

馬の邪魔をしないでエスコート

テレ東スポーツ(2026年5月)

「エスコート」という言葉に、スランプを経て培われた謙虚さと信頼感が滲んでいた。

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2026年5月24日——奇跡のG1クラシック初制覇

2026年5月24日、東京競馬場。第87回オークス(芝2400m)。

道中は後方でじっと折り合いを保ちながら脚を溜める。
そして直線、かつての今村が甦った。

馬群を真っ二つに割るように、鋭く伸びてきた。

ゴール寸前、ドリームコア(3番人気)にクビ差をつけて差し切り。
勝ち時計2分25秒6(良)

日本の女性騎手が初めてクラシックレースを制した、歴史的瞬間だった。

第87回オークス(G1)着順

  • 1着:ジュウリョクピエロ(5番人気)/今村聖奈
  • 2着:ドリームコア(3番人気)/クビ差
  • 3着:ラフターラインズ(2番人気)

勝ち時計:2分25秒6(良)/東京競馬場 芝2400m

優勝後、今村はこう語った。

夢見ているみたい。週末に悔しい思いをすると、週中に勝つ夢をみたりすることがあるんですけど、本当に夢を見ているみたい。彼女のことは一番分かっているつもり。落ち着いて乗れた。身近で応援してくださった方々と喜びを分かち合いたい。

スポニチアネックス(2026年5月24日)

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G1制覇後の今村聖奈——最新活動・近況

2026年5月24日のオークス制覇は、国内外で大きく報道された。

SNS上では今村の復活を祝う声が溢れ、かつて「落ちぶれた」と書かれていた過去記事が次々と論破される形となった。

クラシック初騎乗での初制覇という前代未聞の記録は、今後の女性騎手全体への大きな道標となった。

同日のレースを制したことで、寺島良厩舎にとっても自厩舎の管理馬・管理騎手での歴史的快挙となり、厩舎全体への注目度も一気に高まっている。

G1制覇後の今後の出走予定・テレビ出演情報は現時点で確認中。今後の動向に注目したい。
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今村聖奈の言動から読み解く——スランプの本当の意味

「落ちぶれ」という言葉は、あまりにも酷だと筆者は思う。

彼女がスランプに陥った本質的な理由は「弱くなった」のではなく、「傷ついた」のだ。

デビュー当時の大胆な騎乗は「何も怖くない」という若さゆえのもの。
スマホ処分・相次ぐ制裁・目前でのアクシデント——これだけの逆境を経験して、萎縮しない騎手のほうが珍しい。

それでもオークスの直線で「馬群を割る」という最も勇気のいる判断を選んだ事実が、全てを物語っている。

「夢見ているみたい」という言葉が象徴するように、今村自身もこの日の勝利を信じ切れなかったのかもしれない。
それほどまでに、スランプは深かった。

デビューから4年越しの苦しみが一気に報われた瞬間——今村聖奈のG1初制覇は単なる「勝利」ではなく、「人間の再生」の物語だ。

長年のファンがこの日を見届けた喜びは、計り知れないものがあったはずだ。

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まとめ:今村聖奈は「落ちぶれ」ではなく、再生の途中にいた

今村聖奈の軌跡をまとめると、以下のとおりだ。

  • 2022年:デビュー年51勝(女性騎手史上最多・新人歴代5位)
  • 2023年:スマホ不正使用→30日間騎乗停止→25勝にとどまる
  • 2024〜2025年:6勝、54連敗・100連敗に迫る大スランプ
  • 2026年5月24日:オークス制覇でJRA女性騎手G1初勝利

輝かしいスタートと深すぎるどん底を知っているからこそ、今回の復活はより大きな感動をもたらす。

「落ちぶれた」のではなく、再生の途中にいた——今村聖奈という騎手の真価は、これからさらに証明されていくはずだ。

今後の今村聖奈の活躍から、目が離せない。

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