2025年12月27日、サウジアラビアのリヤドで開催された井上尚弥 vs アラン・ピカソの一戦。

試合の興奮も冷めやらぬ中、ネットニュースで飛び交ったのは「ファイトマネー40億円」という衝撃的な数字でした。

しかし、試合直後に井上選手本人がこの金額を否定したことで、世間は混乱しています。

  • 「本当はいくらなの?」
  • 「なぜ報道と違うの?」

今回は、表に出ない契約の裏側と、税金や経費を引いたリアルな手取り額について、業界の慣習をもとに徹底検証します。

【結論】40億円は「ガセ」ではないが「給料」でもない

結論:40億円の正体は総額面 図解

まず結論から整理します。

メディアが報じた「約40億円(約2570万ドル)」という数字自体は、完全に根拠のないガセネタではありません。

海外のボクシング専門メディアや複数のスポーツ紙が、今回のイベント規模や契約総額としてこの数字を報じています。

しかし、ここには大きな「数字のカラクリ」が存在します。

本人が否定した本当の理由

井上選手が「そんなにもらっていない」と否定した背景には、以下の3つの「混同」があると考えられます。

  • イベント総予算との混同:対戦相手の報酬や興行全体の運営費を含んだパッケージ価格である可能性が高い。
  • スポンサー契約の合算:「リヤド・シーズン」とのパートナーシップ契約が、今回の1試合の報酬として誤って合算されている。
  • PPVボーナスの過大評価:確定していない「見込み収益」まで乗っけられた数字である。

つまり、40億円はあくまで「井上尚弥というプロジェクト」に動いたお金の総額なのです。

個人の財布に入る額とは別物だと考えるのが自然でしょう。

筆者の見解
サウジの国家イベントでは「景気のいい数字」を発表するのが通例です。メディア向けの発表数字(額面)はとにかく派手に盛られる傾向があります。

本人が言えない「契約の裏側」と引かれる経費

引かれる莫大な経費 33%の壁

「40億円」がそのまま手元に残らない決定的な理由は、ボクシング界特有の「分配システム」にあります。

華やかなリングの裏側では、想像以上の経費が引かれているのです。

1. マネジメント料(33%の壁)

日本のボクシングジムの慣習として、ファイトマネーの約33%(3分の1)を所属ジムが受け取ることが一般的です。

ジムは選手の育成、マッチメイク、交渉を一手に引き受けているため、これは正当な対価ですが、金額が大きくなればその額も莫大になります。

2. チーム帯同費と「サウジ価格」

今回はサウジアラビア開催。

トレーナー、栄養士、スパーリングパートナー、家族など、チーム全員の渡航費や滞在費がかかります。

また、海外興行では現地のプロモーターや調整役へのコミッションも発生するため、経費だけで億単位になることも珍しくありません。

【試算】衝撃のリアル手取りは約10億円か

衝撃のリアル手取りは約10億円程度 図解

では、ファンが一番知りたい「実際に通帳に記帳される金額」をシミュレーションしてみましょう。

報道の数字から「大人の事情」を差し引いた結果がこちらです。

📊 井上尚弥・ピカソ戦 報酬シミュレーション

  • 推定総収入:30億円
    (40億は盛りすぎとして修正)
  • ジム取り分:▲10億円
    (マネジメント料33%)
  • 諸経費:▲1億円
    (渡航費・チーム報酬・調整費)
  • 税金:▲10.4億円
    (所得税+住民税 最高税率約55%)
  • 最終手取り:約8.6億円
    (本人の自由になるお金)

※あくまで日本の税制と一般的な慣習に基づいた概算です。

「40億円」という見出しからすると、手取りが約4分の1になってしまう計算です。

井上選手が「そんなにもらってない」と苦笑いするのも無理はありません。

しかし、たった一夜のパフォーマンスで約10億円の現金を手にするというのは、日本のスポーツ史において異次元の快挙であることに変わりはありません。

まとめ:金額の多寡より「夢」を見せた事実

まとめ:金額の多寡より「夢」を見せた事実

今回の騒動をまとめます。

  • 報道の40億:イベント総額や契約金込みの「額面」
  • 本人の否定:税金や経費を引かれる前の数字に対する違和感
  • 真実の手取り:推定10億円前後

「40億はガセか?」という問いに対しては、「額面としては近いが、本人の給料ではない」というのが真相です。

しかし、金額がいくらであれ、日本人がボクシングの本場やオイルマネーの中心地でこれだけの評価を受けていること自体が、私たちに夢を与えてくれています。

次戦もまた、私たちの想像を超えるビッグマッチが待っていることでしょう。