「日本のバンドが、音楽の本場アイルランドで熱狂的に迎えられている」

今、そんな噂がSNSを駆け巡っています。その中心にいるのが、東京を拠点に活動するアイリッシュ・トラッド・バンド「Pinch of Snuff」です。

一体なぜ彼らは、地球の裏側でこれほどの人気を獲得できたのでしょうか?

この記事では、現地の熱狂ぶりを伝えるメディアの証言を元に、その理由を3つに絞って徹底解説します。

【理由1】現地メディア発のTikTok動画が起爆剤に

ブームの最初の火種は、アイルランド最大級のバイラルメディア『JOE.ie』が投稿した一本の動画でした。彼らのエネルギッシュな演奏風景は瞬く間に拡散され、100万回以上再生される事態になりました。

The best Japanese Irish-Trad Band You’ve Never Heard Of
(翻訳:あなたが聞いたこともない最高の日本人アイリッシュ・トラッド・バンド)

引用元:JOE.ie (YouTube)

この投稿が、現地の若者たちに「なんだこのクールなバンドは!?」という衝撃を与え、一気に知名度を高めました。

筆者の考察:
単に珍しいだけでなく、動画から伝わる「心から音楽を楽しむ姿」が、アイルランド人が最も大切にする「Craic(クラック=楽しい時間)」の精神と共鳴したことが、爆発的な拡散につながった最大の要因でしょう。

【理由2】本場も脱帽する「ガチ」な演奏技術

熱狂は偶然ではない理由を図解でまとめたスライド

Pinch of Snuffの人気は、SNS上の一時的なバズでは終わりませんでした。

その理由は、彼らが持つ圧倒的な演奏技術にあります。

 

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バンド名は、アイルランドのドネガル地方に伝わる超絶技巧を要するリール(舞曲)から取られており、その名を冠するにふさわしい実力を備えています。

現地のカルチャー誌『District Magazine』のインタビューで、バンドリーダーのTiger氏は音楽への深い探究心を語っています。

Irish music is so beautiful, powerful, fleeting and sad. Also, the deep technical and specialised aspects are fascinating…
(翻訳:アイルランド音楽は美しく、力強く、儚く、そして悲しい。また、その深く技術的で専門的な側面も魅力的です)

引用元:District Magazine

筆者の考察:
彼らは「外国人のコピーバンド」ではありませんでした。

現地のファンは、「ドネガル地方の伝統的な奏法を、東京のパブで15年間も探求し続けてきた」という音楽への誠実な姿勢と本物のスキルに、最大級のリスペクトを払っているのです。

【理由3】15年越しの「夢の逆上陸」という感動ストーリー

インタビューの内容をスライドで分かりやすくまとめた画像

今回の熱狂を決定づけたのが、彼らの背景にある感動的なストーリーです。

メンバーの多くは、アイルランドの音楽に人生を捧げてきたにもかかわらず、一度も現地を訪れたことがありませんでした。

SNSでのブレイクをきっかけに実現した初のアイルランドツアー。

現地のパブで行われたライブは、彼らを一目見ようと集まったファンで埋め尽くされ、まるで英雄の凱旋のような光景が広がりました。

いつかはこうアイルランドで演奏してみたいっていう夢が、あ、それが叶ったっていう嬉しさとあと嘘なんじゃないか騙されてるのかっていう思いと半々でした。

引用元:JOE.ie インタビュー

筆者の考察:
「音楽への愛」だけで国境を越え、本国の人々に「私たちの文化をこんなにも愛してくれてありがとう」と言わせた。

この「夢が現実になった瞬間」を共有できたことが、ファンの心を強く掴み、熱狂的な支持へと繋がりました。

まとめ

きっかけ・実力・物語が熱狂の理由である図解

Pinch of Snuffがアイルランドで熱狂的な人気を博している理由は、以下の3つです。

  • きっかけ:現地メディア発の動画による拡散力
  • 実力:本場も認めるハイレベルな演奏技術
  • 物語:15年越しの夢が叶った感動的なストーリー

彼らの活躍は、音楽がいかに文化や国境を軽々と飛び越えるかを証明してくれました。今後のさらなる活躍から目が離せません。