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各年代のスーパー戦隊「制作費」をまとめてみた!一番高いのは?

各年代のスーパー戦隊「制作費」をまとめてみた!一番高いのは?

スーパー戦隊シリーズの制作費は、時代の変化と共に大きく変わってきました。

特に、昭和初期の作品と現在の作品を比較すると、その技術進化と投資規模は劇的に変化しています。

本記事では、各年代の制作費がどのように推移してきたのかを推定値に基づきながら追い、その背景にある技術の進化やビジネス環境の変化を、

信頼できる情報を交えて分かりやすく解説します。

【筆者の一言】
2025年10月、半世紀続いたスーパー戦隊シリーズの「放送終了」が報じられ、多くのファンに衝撃が走りました。

この記事では、単なる数字の比較だけでなく、なぜこれほどまでに制作環境が変わり、そしてなぜシリーズが重大な岐路に立たされたのか、その本質に迫りたいと思います。

推定される最高制作費は「令和時代」

戦隊レンジャーが戦ってる画像

【結論】令和のスーパー戦隊は、昭和の約11倍以上の予算が使われていると推定される

スーパー戦隊シリーズの制作費は、公式に発表されたものではありませんが、映像の進化を見る限り、時代を追うごとに上昇しているのは確実です。

Web上で分析されている推定値によれば、近年の制作費は以下のようになっていると言われています。

  • 1話あたり(推定): 2,800万円
  • 年間制作費(推定): 14.0億円

この数字が正確だと仮定すると、昭和初期の推定制作費(1.2億円)と比較して、令和時代は約11.6倍以上の投資規模になっている計算です。

この背景には、特撮技術の進化と、子ども向けエンターテイメント市場での競争激化による投資圧力があると考えられます。

【筆者の一言】
年間14億円という数字は、もはや子供向け番組の枠を超えた映画クラスの予算規模です。

これは、現代の視聴者が、たとえ子供であってもハリウッド映画などで目が肥えており、チープな映像では満足できなくなっていることの表れでしょう。

「子供だまし」が通用しない時代だからこそ、制作側もクオリティを追求せざるを得ず、それがコストに直結しているのです。

【推定】年代別・制作費の推移

※以下の数字は公式発表されたものではなく、Web上で分析されている推定値です。

年代 制作費(億円) 主な技術トピック
昭和初期(1975~85年) 1.2 ミニチュア撮影時代
昭和後期~平成初期(1986~95年) 2.4 ロボット戦の本格化
平成中期(1996~2005年) 4.0 CG技術の導入開始
平成後期(2006~10年) 7.5 デジタル撮影への転換期
平成後期(2011~15年) 10.0 CG技術の高度化
平成~令和(2016~20年) 12.5 RED ONE導入
令和(2021~) 14.0 LEDウォール導入

 

【筆者の一言】
この推移は、まさに特撮技術の「進化の歴史」そのものです。

一度上げてしまった映像クオリティを下げることは、視聴者の失望に繋がるため非常に難しい。つまり、このコスト増は不可逆的なものなのです。

制作現場は常に「去年よりも良いものを」というプレッシャーの中で、予算との厳しい戦いを強いられてきたのだと想像します。

技術進化の具体例:昭和 vs 令和

制作費が増加した背景には、制作スタイルの劇的な変化があります。

1975年の『秘密戦隊ゴレンジャー』と2023年の『王様戦隊キングオウジャー』を比較すると、その違いは明らかです。

比較項目 昭和初期(1975年 ゴレンジャー) 令和時代(2023年 キングオウジャー)
撮影方式 16mmフィルム撮影 4K/8Kデジタル撮影
背景技術 ミニチュアセット、手書きの背景 LEDウォールによるバーチャル背景
キャラクター造形 ジャージ素材のスーツ、FRP製マスク 複雑な3DCGロボット、VFXによる敵怪人
ポストプロダクション フィルム現像・物理編集(約1週間) CG・VFX処理、デジタル編集(2~3週間以上)

撮影後のポストプロダクション(CG合成、VFXなど)に3倍以上の時間と人員を投入しているのが現代の制作スタイルです。

これが、制作費が高騰している最大の要因と考えられます。

【筆者の一言】
視聴者からは見えない「後処理」のコストこそが、制作費高騰の核心です。

昭和の特撮が「職人技」なら、令和の特撮は「チームによるデジタルアート」と言えるでしょう。

画面に映る時間は数秒でも、その裏では何週間もかけて専門チームが作業している。この「見えないコスト」が、制作費を押し上げているのです。

なぜ制作費は上がり続けたのか?

 

  1. 技術進化への投資コスト増加:4K/8KカメラやLEDウォール等、最新機材への投資と専門スタッフの人件費が増加。
  2. キャスティング費用の変化:俳優の出演料も、昭和の時代と比較して上昇傾向にあると言われています。
  3. ロケーション撮影の拡大:スタジオセットだけでなく、全国での大規模なロケーション撮影も増え、コストを押し上げています。
  4. 配信プラットフォームへの対応:各種配信サービスで4K画質が標準となり、高画質での制作が必須となりました。

【筆者の一言】
特に見過ごせないのが「配信プラットフォームへの対応」です。

テレビ放送だけでなく、後から配信で視聴するファンが増えたことで、未来永劫残るデジタル資産として高いクオリティが求められるようになりました。

これは、作り手にとっては嬉しい半面、常に高画質・高音質を維持しなければならないという、新たなプレッシャーとコスト増を生んでいます。

制作費が倍化しても、売上は減少している矛盾

ここがシリーズの直面する最も大きな課題です。制作費が高騰する一方で、ビジネスの根幹である玩具売上は厳しい状況にあります。

制作費(推定)と玩具売上(公式発表)の実績比較:

スーパー戦隊おもちゃ売上推移をグラフにした図解 年々下がっていることがわかる。
年度 作品 制作費推定 玩具売上
2014年3月期 キョウリュウジャー 約10.0億円 144億円
2024年3月期 キングオウジャー 約14.0億円 65億円

この理由は複合的です。

  • 出生数の低下で子どもの数が減少
  • 2017年の放送時間変更(朝7時半→朝9時半)による視聴習慣の変化
  • YouTube・TikTokなど娯楽選択肢の増加

【筆者の一言】
この「コスト増」と「売上減」のグラフが交差してしまった点が、シリーズ終了の核心だと私は考えています。

特に「娯楽の多様化」は深刻です。

昔は「日曜の朝はテレビの前に座る」のが当たり前でしたが、今は子供たちがスマホ一つで好きなコンテンツを好きな時に見られる時代。

スーパー戦隊は、無料で見られるYouTubeや、もっと刺激的なゲームアプリと戦わなければならなくなったのです。

スーパー戦隊が「終了」報道に至った経緯

2025年10月30日、複数のメディアが、スーパー戦隊シリーズが放送を終了する方向であると報じました。

その理由は、「イベントや関連グッズ、映画化などで得られる収入が、高騰する番組制作費に見合わなくなったため」とされています。

この数字は、同じ東映特撮の「仮面ライダーシリーズ」と比較すると、その厳しさが際立ちます。

仮面ライダーの玩具売上は、2024年3月期で315億円を記録しており、スーパー戦隊の約5倍近い規模です。

【筆者の一言】
仮面ライダーがなぜ売れ続けるのか? それは、子供だけでなく、親世代や大人のファンを巻き込むことに成功しているからだと思います。

ベルトなどの高価格帯商品が大人にも売れ、物語もより複雑なテーマを扱うことで、幅広い層の支持を得ています。

一方、スーパー戦隊は「子供向け」という原点を守り続けた結果、ターゲット層の縮小という時代の波を乗り越えられなかったのかもしれません。

まとめ:制作費の推移が示すもの

スーパー戦隊シリーズの制作費は、最高の映像体験をファンに届けるため、技術投資を惜しまず、過去最高レベルに達していると推定されます。

しかし、その上昇コストを玩具販売で回収するというビジネスモデルが、市場の変化によって限界を迎えました。

2025年の放送終了報道は、この構造的な課題を浮き彫りにした形です。

50年にわたるシリーズの歴史は、日本のコンテンツ産業が直面する課題をそのまま映し出していると言えるでしょう。

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